「回転式エスカレーター」 1995年
このエスカレータは、ロンドンのニューテートギャラリーの最終コンペ案が決定した1994年にその巨大なエントランスホールに設置することを目的として考案され、1995年秋在籍中であったロンドンチェルシーカレッジのマスターコース修了展にてマケットと実物大のスケールモデルが発表されました。
ニューテートギャラリーは元発電所であったレンガ作りの巨大な建造物を改装して作られました。
以前は内部に巨大な発電機が並び、それが高速で回転していました。
現代美術館のあるべき姿として「美術館は人々を活性化し、鑑賞者は美術館を活性化する」と考える若林は、そのメタファーとして機能的目的をもったエスカレーターに発電機のイメージを投影したデザインしました。
また、エスカレーターを上昇下降の移動手段としてだけでなく「終わることのない円周運動?象徴として「鑑賞者が利用する作品」としての成立を目的としています。 このエスカレーターの特徴:
1. |
上昇下降を同じステップを用いた一本の円周運動によってデザイン。 |
2. |
乗り降りは上下に開かれたステップ側面から行う。 |
3. |
各ステップは車いすがそのまま乗ることの出来る大きなサイズであり、またその運行速度は通常のものより遅い。 |
4. |
通常のエスカレータは上下に巻き込む様にステップが移動するため、横から見た時の厚さがステップ二段分になってしまうが、この平行移動型のエスカレータであれば、ステップが裏側に回り込まない薄い構造体のデザインが可能。 |
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2005 Masato Wakabayashi
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